【アーカイブ配信】奈良先端科学技術大学院大学 原嶋 庸介先生講演 イベントレポート

今回のウェビナーでは、奈良先端科学技術大学院大学の原嶋 庸介先生にご登壇いただき、「ニューラルネットワークポテンシャルを活用した物質探索」をテーマに、Matlantisを活用した最新の研究成果についてご講演いただきました。170名以上の方々がご参加され、活発な質疑応答が繰り広げられるなど、大変有意義なセッションとなりました。
ウェビナーにご参加いただけなかった方も、ぜひ、資料・動画をご覧いただき、研究の最新知見をお役立てください。
参加者の声
- 機械学習ポテンシャルを活用したアプローチの威力が良く分かった
- 実験と計算の比較が紹介されており、大変勉強になった
- 非常に画期的な先端研究のお話を聞くことができた
講演内容ハイライト
はじめに
新規物質の探索において、種々の物性が優れていることに加えて、そもそもその化合物が合成可能でなければならず、その物性と共に構造安定性を解析することは重要です。
本講演では、生成モデルを用いた化学組成探索および有限温度での構造安定性の評価とニューラルネットワークポテンシャルを組み合わせた解析が紹介されました。
Multi-Objective Generative Adversarial Network for Inorganic Chemical Compositions
講演の前半では、逆問題(所望の物性を満たす物質の提案)へのアプローチとして、Multi-Objective Composition Generative Adversarial Networks(MOCGAN)とMatlantisを組み合わせた手法が紹介されました。
具体的には、所望の物性値を満たす化学組成をMOCGANで生成し、その化学組成の結晶構造をCSP(Crystal Structure Prediction、結晶構造予測)で生み出し、その結晶構造に対してMatlantisで構造最適化をする、という流れで大規模な新規物質探索を実施するという手法が紹介されました。※検証結果(データ)については、現段階では非公開です
Phase stability at finite temperatures by impurity doping
講演の後半では、今後のMatlantis活用のアイディアとして、半導体デバイス向け材料を題材に、有限温度下での構造安定性を評価する解析手法が紹介されました。
具体的には、ハフニア(HfO₂)やジルコニア(ZrO₂)などの結晶多形材料を対象として、高誘電率を示すテトラゴナル相を室温で安定化させる不純物ドーピングの効果検討が紹介されました。今後Matlantisの活用により、本解析は他の材料系にも展開される予定です。