ReactionString・RestScan
Preferred Networks の Research チーム(Matlantis 開発チーム)の研究により Matlantis に実装された機能です。機能の概要を紹介します。
ReactionString
ReactionString は NEB, Dimer, Climbing NEB と似た反応経路探索アルゴリズムです。このアルゴリズムは反応経路上の複数の構造(イメージ)の数が自動で調整され、遷移状態(Transition State, TS)付近のイメージ数が細かく生成されるため、TSの精度がDimer法に近く、NEBよりも正確に求められます。局所最小点(local minima) が複数あっても問題なく動き、反応経路とTSを同時に最適化するため、IRC(Intrinsic Reaction Coordinate)で思わぬ構造に辿り着いてしまうといった失敗をしないという特長もあります。これらの特長により、始状態と終状態の間にTSが2つあるような複雑な反応座標を探索できます(下図)。短所としてNEBより長い計算時間を要す場合があります(計算時間で途中中断するオプションなどを用意しています)。

以下はパラジウム(Pd)触媒上のメタクリル酸メチル(MMA)合成の例です。

RestScan
RestScanはrestraint scan の略です。座標(geometry)の一部を拘束して、設定した条件(不等号の条件式を含む)を満たすまで連続的に変化させます。反応座標に関する知識が曖昧でも逐次的な処理が可能です。ReactionString や NEB などの反応経路探索で必要となる、始状態や終状態構造作成の手助けをします。
以下の例では、メタンをC-C結合を軸に360度回転させ、エネルギーの山を超えたら終了するように設定しています。


参考資料:https://speakerdeck.com/pfn/matlantis-user-conference-3-hayashi
手法の詳細については現在論文執筆中です。