PFPの最新バージョンとこれまでの歩み

PFPは2021年の正式リリース以後、定期的にモデルのアップデートを継続してきました。ここでは、最新バージョンであるPFPv7.0.0の特徴とPFPがこれまで辿ってきた進化の道のりをご紹介します。

PFP v7.0.0の紹介

2024年9月、PFP v7.0.0を正式リリース。これにより、従来72元素だった対応元素数が96元素まで拡大しました。

この96元素は、自然界に存在する全ての元素を網羅しています。これにより、その高い計算精度と最大44,000原子という大規模計算への対応力と合わせ、材料開発で想定される、ほとんどすべての分子動力学(MD)シミュレーションをPFPで実行可能になりました。

数字で見るMatlantis

クライアント数

100+

企業および学術機関などの利用団体数

シミュレーション速度

20M

3,000原子の系における従来のDFT計算との比較

採用論文数

60本以上

Matlantisが活用された学術論文数

学習構造

1GPUで
2,200年相当

Matlantisの訓練データを1GPUで処理した場合の年数

対応元素数

96元素に対応

自然界に存在するすべての元素を含む

最大対応原子数

44K原子

Pt(fcc)のバルク構造で計算可能な最大原子数

年間リリースノート数

78本以上

継続的な機能改善を示す、2024年の年間発行数

累計原子数

30T原子

2023年1月~2024年6月にシミュレーションされた原子の総数

これまでの歩み

ここでは、PFPが辿ってきた進化の道のりを振り返ります。

リリース時期 2021.07 2022.08 2023.10 2024.04 2024.09
PFP Version v1 v3 v5 v6 v7 リリース時からの進展
主要トピック D3補正 (v1.1) 対応元素拡大
PFVM適用
分子間相互作用の改善 新アーキテクチャ 対応元素拡大
対応元素種 55 72 72 72 96 +41元素
計算可能原子数* 3,000 10,000 19,000 44,000 44,000 約15倍
学習データ数 1000万 2200万 4200万 4200万 5900万 約6倍
*PFPによる推論可能なPt(fcc)の最大原子数。ただし、実際の推論可能な数は契約による

PFP v1.0.0

2021年7月にリリースされたPFP v1.0.0は、材料開発における原子シミュレーションのあり方を大きく変える、画期的な汎用機械学習ポテンシャルとして登場しました 。これは、従来は材料ごとに個別の開発が必要だった原子間ポテンシャルの常識を覆し、単一のモデルで多様な系を扱える「ユニバーサル」というコンセプトを先駆けて実現したものです。リリース当時は55元素、3,000原子の系に対応していました 。このv1.0.0が、その後の継続的な性能向上の礎となりました。v1.1ではDFT-D3補正を取り入れ、長距離で働く相互作用を考慮できるようになりました。

PFP v3.0.0

PFP v3.0.0は2022年の8月にリリースされました。学習データを2200万構造まで拡充することで対応元素種を72元素まで増やすことができました。また、Preferred Networksが独自開発したPFVN技術を用いることでメモリ使用量を大きく改善し、10,000という大きな数の原子を扱えるようになりました。

PFP v5.0.0

PFP v5.0.0は2023年の10月にリリースされました。学習データを4200万構造まで拡充し、モデルの学習に使用しました。これにより、分子間相互作用の効果をより正確に再現できるようになりました。

PFP v6.0.0

PFP v6.0.0は2024年の4月にリリースされました。アーキテクチャを刷新することで、最大の計算可能原子数が44,000と大幅に引き上げました。これによって、従来では不可能だった大規模な系のシミュレーションを可能にしました。

PFPのこれから

PFPは今後もアップデートを行っていきます。目指す方向としては、①性能向上、②高速化、③研究の幅を広げるための技術提供の3点を考えています。ここでは、①性能向上に向けた取り組みについてご紹介します。
従来のPFPは、学習データの多くにPBE汎関数を用いたDFT計算の結果を利用してきました。しかし、お客様から求められる精度が、PBEによる計算結果と実験値との間の誤差を許容できないレベルに達しつつあります。
そこで私たちは、PBEよりも高精度なr2SCAN汎関数を用いて得られたDFT計算結果を、次期PFPの学習データに追加することを検討しています。r2SCANを用いたDFT計算は膨大な計算時間を要しますが、その高精度な結果をPFPに学習させることで、お客様は従来の計算コストのまま、r2SCANレベルの精度でシミュレーションを実行できるようになります。
その他の検討項目の詳細についてはお問い合わせください。