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Matlantis活用事例
AGC株式会社<br>Matlantis活用事例:image(左から) AGC株式会社技術本部 材料融合研究所 無機材料部 加藤毅之 様、先端基盤研究所 共通基盤技術部 マネージャー 吉田拓未 様、材料融合研究所 機能部材部 マネージャー 清良輔 様

AGC株式会社
Matlantis活用事例

ガラスを主軸に、化学品や電子部品など素材全般に対してアプローチし、独自の素材ソリューション提供を目指すAGC株式会社。 その研究開発現場では、実験化学者たちによるMatlantisの活用が進んでいます。 同社の技術本部先端基盤研究所と材料融合研究所で材料研究開発を担う3名の研究者に、Matlantis導入の経緯や各部署での使い方などについてお話を伺いました。

AGC株式会社

業  種
ガラス・化学
事業内容
建築ガラス、自動車用ガラス、電子、化学、ライフサイエンス、セラミック等の事業領域での製品製造及び販売

Q.どのような研究開発に取り組んでいるのか教えてください。

加藤 無機材料部に所属し、実験研究者としてガラス材料の開発に携わっています。さまざまな製品に用いられるガラスについて、求められる機能を達成するために必要な組成改良の提案や、新規組成の探索を行っています。

清 機能部材部のコーティングチームに実験研究者として所属しています。多様な製品に機能性の膜をコーティングすることで、付加価値をより高める検討を行っています。材料的な探索だけでなく、量産に乗せていくためのプロセス検討も担っています。

吉田 私は先端基盤研究所の共通基盤技術部に所属し、計算化学を用いたシミュレーションなどを行っています。材料やプロセスの研究開発を計算化学でバックアップすること、またそこに役立つであろう先端技術の導入検討も行います。機械学習ポテンシャルのような新しい技術を導入し、社内に普及させる活動も重要です。

Q.実験研究者としてMatlantisを使ってみて、どのような印象を持ちましたか。

清 Matlantisを使ってもうじき1年になります。それまでは計算化学といえば専門家と組んで使うものでしたし、機械学習ポテンシャルというものも知りませんでした。Matlantisを使う前はPythonコーディングを習得するのが大変そうだと思っていましたが、真面目に勉強すれば恐れていたほどではなかったですし、初心者の私でも苦もなく使えています。まず実験による結果が既にわかっている系の検証から始めましたが、その時に組成の絶対値までほぼ一致する結果を導き出したので、これはすごいと衝撃を受けました。

加藤 私も最初に、これまで利用してきた一般的なシミュレーションによる結果と、Matlantisとの比較を行って、これはいけそうだという感触を得ました。その後、現場で使ううちにMatlantisの優位性が明確な場合もあることもわかるようになり、そのすごさを実感しています。

Q. Matlantisの導入によって研究開発のプロセスは変わりましたか?

清 私が携わっているドライコーティング技術は非平衡の過程を扱うので、計算化学とは非常に相性が悪い分野です。計算時間のかかるDFT計算は、現象をかなり絞り込まなければ生かせないこともあり、計算を用いる機会はあまりありませんでした。Matlantisでは非平衡過程をそのまま再現することが可能ですし、従来の手法では難しかった構造の再現もできる感触を得ています。わざわざ現象を絞り込まなくてもエイヤで回せば結果が出るのは、本当にすごいことで、コーティング分野でも計算化学を活用できる道筋が見えてきたと感じています。

加藤 従来のシミュレーション手法である古典的な分子動力学(MD)計算は何か解明したい現象があって、それを正しく再現するために力場パラメータを作り込むという「実験ありき」です。それがMatlantisであれば、計算してから実験という流れに持っていけるだろうと確信しました。

吉田 計算を依頼される側としては、アプローチの方法と幅が広がったというのが大きな変化だと思います。古典MDやDFTといった既存の手法にMatlantisが加わることで引き出しが増え、これまで計算化学では難しかった課題に対してもアプローチできる可能性が増えたと考えています。

Q. その他に変化はありましたか。

加藤 私自身の研究に対する考え方です。Matlantisというまったく新しいツールに触れたことで、自分自身が計算のスキルやリテラシーを高めて実験にフィードバックできるようにならなければ、この先、取り残されてしまうという危機感を感じたのです。さらに、従来の計算化学では不可能だった領域に踏み込んでいけるとなれば、そこで何をできるのかという前提で実験や計算に向き合わなければと、認識を新たにしました。その意味で、Matlantisが実験研究者としての自分を大きく変えたと思っています。

Q. Matlantisを活用して、これから目指すことを教えてください。

加藤 Matlantisが可能にする「計算してから実験へ」という理想的なループが実現するように、まずは自分の周囲から普及させて、より多くの実験研究者が使えるようにしていきたいと考えています。

清 学生時代から「考えている暇があったら、手を動かせ」と言われてきたものですが頭で考えた通りに結果を出すことも、実験研究者として大事なことだと考えています。Matlantisはそうした流れに有用なツールなので、どんどん事例を増やしていきたいと思っています。実験研究者が自分で計算できることの有利さを、広く伝えたいですね。

吉田 材料開発のループに計算化学やMI、DXを効果的に組み込んで加速させることを目指しています。弊社には数多くの材料分野とテーマがありますので、それぞれに合うループを作るためにも多様な分野にMatlantisを導入して、材料開発の可能性を広げていきたいと思っています。
現在、欧米のBig Techが材料の研究開発に進出し始めています。このような競争の激しい分野で生き残っていくために、Matlantisは大いに役立つものだと確信しています。

吉田 拓未 様

先端基板研究所
共通基盤技術部 
ソフトサイエンスチーム
マネージャー

清 良輔 様

材料融合研究所
機能部材部
コーティングチーム
マネージャー

加藤 毅之 様

 材料融合研究所 
無機材料部 
ガラス・セラミックス材料チーム

AGC株式会社について

1907年、兵庫県尼崎にて前社名・旭硝子株式会社を創立。2018年に現在の社名に変更。日本で初めて板ガラスの国産化に成功した。「建築ガラス事業」をはじめ、「オートモーティブ事業」、「電子事業」、「化学品事業」、「ライフサイエンス事業」や「セラミック事業」を展開しています。

本社所在地:東京都千代田区丸の内1-5-1新丸の内ビルディング(総合受付 1F)

詳しくは、ウェブサイトをご覧ください。: https://www.agc.com/

*文中に掲載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。
*文中に掲載されている情報は、インタビュー時の情報です。

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Features
Features

Matlantisの3つの特長

革新的なマテリアルの創出に貢献し、持続可能な世界を実現するために「Matlantis」は生まれました。

汎用性/ Versatile

汎用性 / Versatile イメージ
幅広い元素・構造に対応

現在96種の元素に対応しております。これは自然界に存在するすべての元素を含むため、ユーザーは元素種の制約をほとんど受けることがありません。これらの元素種について、未知の材料を含む分子や結晶など任意の原子の組み合わせに対してシミュレーションすることが可能です。

高速 / High Speed

高速 / High Speed イメージ
従来手法の10,000倍以上高速

DFT(Density Functional Theory:密度汎関数法)では、高性能なコンピュータを用いて数時間~数カ月かかった原子レベルの物理シミュレーションを、数秒単位で行うことができます。

使いやすさ / Easy to Use

使いやすさ / Easy to Use イメージ
ブラウザを立ち上げれば
シミュレーションを開始できます

学習済み深層学習モデル・物性計算ライブラリ・高性能な計算環境をパッケージにすることで、ハードウェアの準備や環境構築をすることなく、シミュレーションによる材料探索が可能です。また、従来の機械学習ポテンシャルとは異なり、ユーザーによるデータ収集や学習が不要です。

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