トヨタ自動車株式会社 東富士研究所 先端材料技術部 山﨑様の社内でのMatlantis活用に関するインタビューです。山﨑様が実際に感じたMatlantisの魅力、Matlantis活用によって社内で起きている具体的な変化を、研究者/事業の視点でお話し頂きました。
弊社では主に車にのせる材料、具体的には電池、半導体、触媒、車の車両本体に使う有機材などを扱っていて、それらに対する研究開発を行っています。我々にとって、材料の研究開発は非常に重要です。例えば、自動車が加速する、燃費が良くなるといったことは、そこの材料がキーポイントになってきます。そのため、材料開発にブレイクスルーを起こし続けることが、良い製品に繋がると考えています。
「これまで」との違いMatlantis以外の他ソフトウェアなどのアプリケーションは決まりきった計算しかできず、それは研究開発からすると色々と難しい面が出てきます。その結果として、なかなか目的のものが得られないというのが「これまで」でした。
一方、Matlantisは自由度が高く、特に実験担当者の「これやりたい」という要望、計算担当者の「こうやりたい」という要望に対して、ライブラリなどを自由に足して対応することができます。その点において、Matlantisはものすごく研究開発に適用しやすいものになっていると思います。
これまでは、アプリケーションといっても自分のやりたいことができない、敷居が高いといった要因で、あまり実験担当者の人が「使ってみよう」とはなりませんでした。
一方、Matlantisに関しては、実験担当者の中にはPythonをベースとした仕様には馴染みがある人もいて、しかも自分のやりたいことができるという拡張性があるという点から、部内では実験担当者も利用するようになってきています。このあたりが、これまでと比べたときのMatlantisの特長であり、変化かなと思います。
驚異的なスピードビジネス目線で考えると、速さは重要です。
我々は、何かしらの材料を探索する時にデータベースを探していったりします。その方法ですと今まで3カ月程度の時間がかかっていたのですが、Matlantisを活用した新たな方法では、わずか1週間程度に時間短縮されました。
Matlantisを活用すると年間約1,000万構造ぐらいの計算ができますので、自分たちでデータベースを作ってしまって、「このデータベースの中で何かいいものがないか」と探索するアプローチができます。自分たちのデータベースを作ることができるという点に、かなりメリットがあると思っています。
Matlantis/PFCC技術サポート技術サポートとして、Matlantis/PFCCの方々と定期的にディスカッションする機会があります。
本質的に難しい問題というのも研究にはあるのですが、そういった問題に対しても「一緒に考えましょう」というようにご対応頂いているので、我々は助かっています。皆さん専門性が高く、計算技術やプログラムに関しては非常に高い技術を持っていらっしゃいます。そのため、安心してディスカッションできると感じます。
材料開発のパラダイムシフト我々研究者が目指すところは「開発の加速」であり、それを実現できる方法がブレイクスルーなんですよね。
新しい材料の発見や開発というのは、実験中心の方法では5~10年に1回の奇跡が起きる感覚でした。Matlantisにより高速、かつ、広範囲な材料探索が可能になることで、新しい材料の発見や開発の短期化が期待するところです。
実験をたくさんして失敗しながらというよりは、仮想的な材料で大きいデータベースを作り、その中でいいものを探していくという新しいアプローチに、パラダイムシフトを感じています。そこに我々ができることや、Matlantisが担っている役割があるのではないかなと考えています。
革新的なマテリアルの創出に貢献し、持続可能な世界を実現するために「Matlantis」は生まれました。
未知の材料を含む、分子や結晶などの任意の原子の組み合わせにおいてシミュレーションが可能です。現在は96の元素をサポートしており、今後さらに拡大予定です。
DFT(Density Functional Theory:密度汎関数法)では、高性能なコンピュータを用いて数時間~数カ月かかった原子レベルの物理シミュレーションを、数秒単位で行うことができます。
学習済み深層学習モデル・物性計算ライブラリ・高性能な計算環境をパッケージにすることで、ハードウェアの準備や環境構築をすることなく、シミュレーションによる材料探索が可能です。また、従来の機械学習ポテンシャルとは異なり、ユーザーによるデータ収集や学習が不要です。